
薬剤師は学費の元が取れるの?
この記事では、薬学部の学費や薬剤師の年収、投資回収までの年数などを【現役薬剤師】が詳しく解説します!



結論から言うと、薬剤師は学費が高いものの、安定した収入と長く働ける特性があるため、多くのケースで十分に元を取ることが可能です!
進学先の選び方や就職先によって、3〜7年程度で学費を回収できる現実的な見通しがあります。
薬剤師を目指す上でのリアルな学費・収入事情を知りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね!
薬剤師になるための学費はいくらかかる?


薬剤師になるためには6年制の薬学部を卒業する必要があり、学費は大学によって大きく異なります。
ここでは、国公立大学と私立大学の学費の違いや、入学から卒業までにかかる総費用について詳しく解説します!
薬学部の6年間にかかる総額は?
薬学部の6年間でかかる総学費は、大学の種別によって大きく変わります。
約350万〜400万円程度
900万〜1400万円程度
文部科学省や各大学のデータをもとに見ると、国公立大学では6年間で約350万〜400万円程度に収まる一方、私立大学では6年間で900万〜1400万円程度かかるとされています。
特に、私立は初年度納入金が200万円を超えるところも多く、在学中の授業料・施設費などが重なると、総額は1000万円を超えます。
学費の差は進学の判断に直結するため、事前にしっかり調べておくことが重要です!
順位 | 大学名 | 6年間学費 | 初年度学費 | 都道府県 |
---|---|---|---|---|
1位 | 奥羽大学 | 9,200,000円 | 1,700,000円 | 福島県 |
2位 | 九州保健福祉大学 | 9,300,000円 | 1,800,000円 | 宮崎県 |
3位 | 国際医療福祉大学 | 9,900,000円 | 1,750,000円 | 栃木県 |
4位 | 青森大学 | 10,520,000円 | 1,920,000円 | 青森県 |
5位 | 姫路獨協大学 | 11,100,000円 | 2,100,000円 | 兵庫県 |
6位 | 大阪医科薬科大学 | 11,200,000円 | 2,200,000円 | 大阪府 |
6位 | 神戸薬科大学 | 11,200,000円 | 2,200,000円 | 兵庫県 |
6位 | 医療創生大学 | 11,200,000円 | 2,200,000円 | 福島県 |
9位 | 大阪大谷大学 | 11,260,000円 | 2,210,000円 | 大阪府 |
10位 | 京都薬科大学 | 11,295,000円 | 2,200,000円 | 京都府 |
慶應義塾大学 | 14,420,000円 | 2.3700.000円 | 東京都 |



上記のランキングのように、私立薬学部では一番安い学費の奥羽大学でも900万円程度かかるとされております!
慶応義塾大学では、6年間で1400万円を超えるとされています。
私立大学と国公立大学の学費の違い
薬学部の学費は国公立と私立で大きく差があります。
一般的な国公立大学では、年間の学費は約54万円で、これに入学金を加えても6年間で359万円~400万円前後です。



私立大学と国公立大学の学費の差は実に2.5倍以上となり、将来的な奨学金返済の負担や、学費回収に必要な年数に大きな影響を与えます。
薬学部の学費以外にかかるお金とは?
薬学部の学費以外にも、生活費・教材費・実習費などがかかる
特に実習が多い薬学部では、白衣や専門教材、備品代などが年間で10万〜20万円ほど必要になることもあります。



講義で1~2回しか使用しない、大学に在籍している教授が執筆した、高い教科書を購入させられることがしばしばありました・・・
また、一人暮らしをする場合には、家賃や生活費で年間180万円程度の出費が見込まれます。
(※首都圏で、月家賃10万円/生活費5万円と仮定した場合)
これらを合算すると、学費とは別に6年間で1000万円前後が必要になる可能性があります。
経済的な計画を立てる上では、学費だけでなく生活費なども含めた「総コスト」を意識することが大切です!
薬剤師の平均年収と初任給はいくら?最新データを紹介


薬剤師の収入は安定していると言われますが、実際には就職先やキャリアによって差があります。
ここでは、厚生労働省や各種調査データをもとに、初任給や平均年収、職場ごとの年収差について詳しく解説します!
薬剤師の初任給の目安
薬剤師の初任給は、他の医療系職種と比較しても高めの傾向があります。



最近は、新卒薬剤師の採用が激化しており、どの薬局なども賃上げをしており、初任給が高まっている傾向があります!
製薬企業などの民間企業では、薬剤師職よりも高い初任給を提示することが多くなっています。
以下は薬剤師の就職先別初任給の目安です(2024年時点の平均)
就職先 | 初任給(月額) |
---|---|
ドラッグストア | 約28〜35万円 |
調剤薬局 | 約22〜30万円 |
病院(民間) | 約20〜26万円 |
大学病院 | 約20〜26万円(※レジデント採用が多い) |
製薬会社 | 約26〜35万円 |
このように、就職先によって月に数万円の差が出るため、収入重視の人は職場選びが重要です。
【学費の元は取れる?】薬剤師平均年収データ
薬剤師の平均年収は577.9万円(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より)
薬剤師の年収は年齢や経験とともに上昇する傾向があります。
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、男性薬剤師の平均年収は622.56万円でした。
一方、女性薬剤師の平均年収は542.78万円となっております。
性別 | 平均年収 | 平均月収 | 平均年齢 |
---|---|---|---|
男性 | 622万5,600円 | 45万1,000円 | 41.0歳 |
女性 | 542万7,800円 | 39万1,200円 | 39.7歳 |
【学費の元は取れる?】薬剤師年代別平均年収データ
年代 | 男性平均 | 女性平均 |
---|---|---|
20~24歳 | 398万2,800円 | 334万2,400円 |
25~29歳 | 478万2,000円 | 467万1,300円 |
30~34歳 | 571万7,300円 | 536万8,800円 |
35~39歳 | 692万2,600円 | 578万7,900円 |
40~44歳 | 650万6,500円 | 589万7,900円 |
45~49歳 | 746万200円 | 526万1,800円 |
50~54歳 | 710万2,800円 | 675万1,600円 |
55~59歳 | 763万3,300円 | 695万7,700円 |
60~64歳 | 589万1,500円 | 559万8,300円 |
65~69歳 | 504万4,700円 | 716万2,900円 |



どの年代でも平均年収を男女とも超えており、薬剤師は安定した年収をもらうことが可能です!
【シミュレーション】薬剤師が学費を回収するまでにかかる年数は?


薬剤師になるための学費は高額ですが、安定した収入が見込めるため「何年で元が取れるのか?」は気になる点ですよね。
ここでは、年収や生活費、奨学金返済などを考慮したモデルで、薬学部の学費を回収するまでの期間を具体的にシミュレーションします!
薬剤師が学費を回収するまでのシナリオ
学費を回収するまでの年数は、主に「学費総額」「手取り収入」「生活費」の3要素で決まります。
項目 | 金額(年間) | 備考 |
---|---|---|
所得税・住民税 | 約54万円 | 所得控除を含めた標準的試算 |
社会保険料(年金・健康・雇用) | 約83万円 | 健康保険・厚生年金等 |
手取り年収 | 約413万円 | 約75%と想定 |
年収が550万円だと仮定すると、手取りは約413万円ほどと仮定されます。
ここから、下記の家賃含めた生活費を控除していきます。
項目 | 年額 |
---|---|
家賃(8万円) | 96万円 |
食費(4万円) | 48万円 |
光熱・通信費・WiFi等 | 30万円 |
雑費・交際費 | 36万円 |
医療・予備費 | 12万円 |
その他(旅行など) | 12万円 |
合計 | 約234万円 |
±生活費の金額は変わりますが、約234万円という一般的な生活費を想定します。
項目 | 金額 |
---|---|
手取り年収 | 約413万円 |
年間生活費 | 約234万円 |
年間返済・貯蓄可能額 | 約179万円 |
返済年数 | 6.7年(約7年) |
年間の貯金額は179万円となります。
179万円を全額学費の元と考えれば、約7年で薬学部の元がとれる計算となります!



ただ、年間179万円を捻出するのは実際には難しいですよね。
とはいえ、現実的に約7年~10年では学費の元が取れると想定されます!
年収・生活費・貯金から見る回収モデル
以下に、国公立と私立薬学部の回収までの期間をまとめました!
区分 | 私立薬学部 | 国公立薬学部 |
---|---|---|
学費総額 | 約1,200万円 | 約400万円 |
年収(手取り) | 約413万円 | 約413万円 |
生活費・支出 | 年間約234万円 | 年間約234万円 |
年間貯蓄可能額 | 約179万円 | 約179万円 |
学費回収までの年数 | 約7年 | 約3年(※厳密には2.23年) |
国公立大学出身であれば、就職後2〜3年で学費回収が完了する可能性があり、費用対効果が非常に高いことが分かります。



薬学部時代に1人暮らしなどをしていた場合は、上記よりも学費を回収するまでの年数はかかりますが、参考にしてみてくださいね。
薬剤師の年収の伸びしろは?キャリア別に解説!


薬剤師は資格職として安定した職業とされますが、将来性や収入の伸びには不安を抱く人も少なくありません。
ここでは、薬剤師として年収アップが見込めるキャリアパスを紹介します!
薬剤師の需要は今後も高いのか?
少子高齢化の進行により、医療・介護ニーズは増加しており、薬剤師の需要は今後も一定数が見込まれます。
特に在宅医療や地域密着型の調剤薬局では、高齢者対応のスキルを持つ薬剤師が求められる傾向にあります。
ただし、AIや電子処方箋の導入により、調剤業務の一部は自動化が進んでいるのも事実です!
管理薬剤師や専門薬剤師、で収入アップ
薬剤師として収入アップを目指すなら、管理薬剤師や専門資格の取得が分かりやすいです!
- 管理薬剤師:平均年収600万〜以上も多数
- 専門薬剤師:資格取得で月額があがる薬局が多数
副業・パートタイムで収入を補う方法
薬剤師はパートやスポット勤務でも時給が高めで、副業向きの資格です!
薬局薬剤師であれば、年間休日も120日程度あり、ホワイトな職場も多いです。
- 土日限定の派遣勤務
- 学校薬剤師
- 医療ライターや監修の仕事
本業+αで収入を増やすことで、学費回収を加速することができます!



パート勤務でも時給が高いことも、薬剤師の隠れたメリットです!
派遣薬剤師などは、時給単価4000以上~も多数あります!
学費の負担を減らす方法は?奨学金・支援制度まとめ


薬剤師を目指すには多額の学費が必要ですが、各種の奨学金や支援制度を活用すれば、負担を大きく軽減できます。
ここでは主な制度を紹介し、どのように利用すればよいかを解説します!
利用できる主な奨学金制度
代表的な奨学金制度は以下の通りです。
制度名 | 特徴 |
---|---|
日本学生支援機構(JASSO) | 第一種(無利子)、第二種(有利子)両方あり |
各大学独自の奨学金 | 成績優秀者・経済困難者向けが多い |
民間団体の奨学金 | 返済不要な給付型も存在 |



薬学部では、奨学金を借りても元を取れるので安心して投資できます!
薬局による学費支援制度
地方の薬局や病院では、「卒業後に一定期間勤務することを条件に学費を補助する制度」があります!


上記は、とある薬局のHPの一部ですが、奨学金を借りている人の返還支援制度により最大300万円の支援があります。



1000万円の奨学金を借りても、上記で300万円を支援してもらえば実質700万円となり、回収期間も短くなります!
薬剤師と他の医療系資格を比較!コスパが良いのはどれ?


薬剤師の資格が「コスパが良い」のかどうかは、他の医療系資格と比較して初めて見えてきます。
ここでは医師・看護師・臨床検査技師などと比較し、薬剤師の特徴を紹介します!
医師・看護師・臨床検査技師との年収比較
資格名 | 平均年収(目安) |
---|---|
医師 | 約1,200万円 |
薬剤師 | 約550〜650万円 |
看護師 | 約500〜600万円 |
臨床検査技師 | 約450〜550万円 |
医師の年収は群を抜いていますが、学費と年数の負担が大きく、薬剤師は比較的バランスが良い職種といえます!



偏差値も様々なので、薬学部は選ばなければハードルは低いと言えます!
学費・取得難易度・就職率を比較
資格名 | 学費目安 | 資格取得年数 | 就職率(概算) |
---|---|---|---|
医師 | 2,000万円〜 | 6年+研修 | 高い |
薬剤師 | 400万〜1,200万円 | 6年 | 非常に高い |
看護師 | 200万〜500万円 | 3年 | 非常に高い |
臨床検査技師 | 200万〜400万円 | 3年 | 普通 |
学費・難易度・就職率をトータルで見ると、薬剤師はコスパに優れた資格です!
安定性と将来性で選ぶならどの資格?
薬剤師は、全国どこでも就職先があり、結婚・出産後の復職も容易なため、特に女性にとって非常に安定した職業です。



薬学部は女性人気が高く、男女比率は3:7くらいのイメージです!
薬剤師の学費と費用対効果に関するよくある質問
記事のまとめ


この記事では、【薬剤師は学費の元が取れる?】回収までの年数や投資対効果について解説しました!
結論として、薬剤師は初期費用がかかるものの、安定した収入と高い就職率により、遅くとも多くの人が10年程度で学費を回収できると想定されます!
働き方や進学先を工夫することで、さらにコスパよく学費を回収することも可能です!
薬剤師を目指す人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!