レシピ動画メディア「デリッシュキッチン」を運営する株式会社エブリー(証券コード:607A)が、2026年8月4日に東証グロース市場へ新規上場します。
知名度の高いサービスを持ち、公開価格は230円。100株なら2万3,000円から参加できるため、IPOの購入申込や上場後の初値買いを検討している人も多いでしょう。
ただし、エブリーIPOには、主力事業の成長と2026年6月期の黒字予想というプラス材料がある一方、売出比率の高さ、ベンチャーキャピタル保有株、KDDIグループとの取引縮小という見逃せないリスクもあります。
この記事では、2026年7月27日提出の訂正目論見書、発行価格決定資料、会社の業績予想資料を基に、エブリーの事業内容・業績・IPO需給・ロックアップ・初値予想を検証します。
※本記事は2026年7月27日(公開価格決定日)時点の情報に基づいています。初値予想や評価は将来の株価を保証するものではありません。
この記事はあくまでも情報提供を目的としたものであり、その手法や知識について勧誘や売買を推奨するものではありません。
本記事に含まれる情報に関しては、万全を期しておりますが、その情報の正確性、完全性、有用性を保証するものではありません。
情報の利用の結果として何らかの損害が発生した場合、著者は理由のいかんを問わず投資の結果に責任を負いません。
投資対象および商品の選択など、投資にかかる最終決定はご自身でご判断ください。
【結論】エブリー(607A)のIPOは「公募参加を検討できるが、強気一辺倒にはなれない」

最初に結論をまとめます。
- 事業:デリッシュキッチンを入口に、食品メーカー向け広告、小売DX、店頭リテールメディア、有料課金などを展開
- 業績:開示された2021年6月期~2025年6月期は赤字。2026年6月期は売上高50.16億円、営業利益3.45億円の黒字転換予想
- 需給:吸収金額は約15.66億円で極端に重くないが、公募・売出しのうち売出株が81.3%を占める
- 初値:独立系IPO情報サイトの予想は230~400円と幅広く、比較的新しい予想は250~345円付近に集中
- 判断:公開価格での参加は検討余地がある一方、公募割れの可能性はゼロではない。初値が345円前後まで上昇した場合はVCのロックアップ解除条件を意識
- 中長期:KDDI関連売上の減少を主力事業の成長で補えるか、上場後の2027年6月期第1・第2四半期決算を確認したい
エブリーは、単なる「有名アプリの会社」ではありません。オンラインのユーザーデータと、スーパー店頭のデジタルサイネージ・購買データを組み合わせ、食品メーカーや小売企業の販促を支援する広告・リテールDX企業として見る必要があります。
一方、2026年6月期の利益はまだ会社予想であり、通期決算が確定したわけではありません。
ちょくまた、上場後には既存株主の売却圧力やKDDIグループ向け売上の減少が焦点になります。
エブリー(607A)のIPO基本情報

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | 株式会社エブリー |
| 証券コード | 607A |
| 上場日 | 2026年8月4日(火) |
| 上場市場 | 東証グロース市場 |
| 主幹事 | SMBC日興証券 |
| 想定価格 | 230円 |
| 仮条件 | 220~230円 |
| 公開価格 | 230円(仮条件の上限) |
| 最低投資金額 | 2万3,000円(100株・手数料等を除く) |
| 公募株数 | 1,105,300株 |
| 売出株数 | 4,815,100株 |
| OA | 888,000株 |
| 公開株数合計 | 6,808,400株 |
| 吸収金額 | 15億6,593万2,000円(約15.66億円) |
| 上場時発行済株式数 | 20,738,108株 |
| 上場時時価総額 | 約47.70億円 |
| 購入申込期間 | 2026年7月28日~7月31日 |
| 幹事証券 | SMBC日興証券、SBI証券、マネックス証券、松井証券、丸三証券 |
公開価格は仮条件上限の230円で決定しました。訂正目論見書では、申告された需要株数が公開株数を十分に上回り、需要件数も多く、価格別の需要が上限に集中したと説明されています。
ただし、これはブックビルディング時点で需要が集まったことを示すものであり、上場日の初値上昇を保証する材料ではありません。
エブリーはどんな会社?「デリッシュキッチンだけ」ではない

エブリーは2015年9月に設立され、本社を東京都港区六本木に置くメディア企業です。パーパスは「明るい変化の積み重なる暮らしを、誰にでも。」、ミッションは「前向きなきっかけを、ひとりひとりの日常にとどける。」です。
会社公式サイトでは、現在、次の4つの主要サービスを紹介しています。
| サービス | 内容 |
| デリッシュキッチン | レシピ動画メディア。アプリ・ウェブ・SNSでレシピコンテンツを提供 |
| retail HUB | 店頭サイネージ、ネットスーパー、小売アプリなど小売企業向けDX支援 |
| トモニテ | 妊娠・出産・育児領域の子育て動画メディア |
| MOMENTH | インフルエンサーマーケティングなど企業のマーケティング支援 |
目論見書上の報告セグメントは「メディアプラットフォーム事業」の単一セグメントですが、売上はMarketing Solutionビジネス・Consumerビジネス・その他ビジネスの3区分で開示されています。
売上の約74%を占めるMarketing Solutionビジネス
2025年6月期の売上構成は次のとおりです。
| 事業区分 | 売上高 | 構成比 |
| Marketing Solution | 31億4,460万円 | 約74.0% |
| Consumer | 4億3,602万円 | 約10.3% |
| その他 | 6億7,031万円 | 約15.8% |
| 合計 | 42億5,093万円 | 100% |
主力のMarketing Solutionビジネスでは、食品メーカーなどに対し、デリッシュキッチンやSNSを使ったデジタル広告、コンテンツ制作、スーパー店頭のデジタルサイネージを使った広告、小売企業向けソリューションを提供します。
エブリーの強みは、オンライン上の閲覧データだけでなく、小売企業との連携による店頭・購買データも活用し、商品認知から店頭購入までを横断して広告効果を検証できる点です。
デリッシュキッチンの利用規模
- アプリ・ウェブの月間利用者数:3,100万人超
- SNSフォロワー数:1,300万人超
- プロが制作・監修するコンテンツ/レシピ:5万7,000本超
- 店頭デジタルサイネージ設置台数:1万1,000台超
- アプリ評価:4.4/5.0
これらは2026年4月末時点の会社開示値です。ただし、月間利用者数はアプリとウェブの合計であり、同じ人が両方を利用した場合の重複は除外されていません。
SNSフォロワー数も複数媒体の合計で、同一人物の重複を含む可能性があります。
ようこ数字の大きさだけで判断せず、利用者基盤を広告売上と利益にどれだけ転換できるかを見ることが重要よ。
年1,000万円以上を使う「ロイヤル顧客」が増加
会社は、Marketing Solutionビジネスの顧客のうち、年間顧客単価が1,000万円以上の顧客を「ロイヤル顧客」と定義しています。
| 期間 | ロイヤル顧客数 |
| 2024年6月期 | 42社 |
| 2025年6月期 | 62社(前年比47.6%増) |
| 2026年6月期第3四半期累計 | 66社 |
顧客数の増加だけでなく、複数の広告商品を提案して1社当たり売上を高める戦略が進んでいる点は、継続成長を評価するうえでプラスです。
大株主と資本関係|食品・流通企業が並ぶ一方、KDDIは大きく売出し

目論見書に記載された上場前の大株主は次のとおりです。保有比率は潜在株式を含むベースで、今回の公募・売出し前の数値です。
| 株主 | 属性 | 保有比率 |
| 吉田大成 | 創業者・代表取締役 | 21.49% |
| KDDI | 通信大手・事業会社 | 13.09% |
| 伊藤忠食品 | 食品卸 | 10.91% |
| 加藤産業 | 食品卸 | 10.91% |
| WiL Fund II | ベンチャーキャピタル | 7.13% |
このほか、味の素、旭食品、セイノーホールディングスなどの事業会社も株主に名を連ねます。食品メーカー・食品卸・物流企業との資本関係は、広告主や小売企業への営業、店頭サイネージの展開、データ連携を進めるうえで強みになり得ます。
一方、KDDIは上場前に2,822,202株を保有し、今回1,834,400株を売り出します。上場後も株主として残る予定ですが、上場前保有株の約65%を換金する計算です。
また、目論見書ではVC等の保有比率が31.43%と記載されています。さらに、ストック・オプション等の潜在株式は1,920,000株で、上場前発行済株式数の9.78%に相当します。
ちょく将来の株式売却や新株予約権行使による需給・希薄化も確認が必要です。
業績分析|「10年赤字」ではなく、開示5期が赤字・2026年6月期は黒字予想

エブリーの業績を正確に表現すると、目論見書で開示された2021年6月期から2025年6月期までの5期は赤字です。
設立以来10年間ずっと赤字だったと確認できる資料ではないため、「10年赤字」と断定するのは適切ではありません。
| 決算期 | 売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 純損益 |
| 2021年6月期 | 20.93億円 | ― | △13.72億円 | △13.96億円 |
| 2022年6月期 | 24.25億円 | ― | △10.04億円 | △10.57億円 |
| 2023年6月期 | 25.80億円 | ― | △5.44億円 | △5.55億円 |
| 2024年6月期 | 33.60億円 | △6.43億円 | △6.44億円 | △7.71億円 |
| 2025年6月期 | 42.51億円 | △0.24億円 | △0.30億円 | △0.33億円 |
| 2026年6月期3Q累計 | 38.31億円 | 3.24億円 | 3.24億円 | 3.21億円 |
| 2026年6月期会社予想 | 50.16億円 | 3.45億円 | 3.35億円 | 3.31億円 |
2026年6月期第3四半期累計では黒字化していますが、2026年6月期通期の数字は会社予想です。
ようこ記事公開時点では本決算が確定していないため、「黒字転換した」と言い切るより、「黒字転換を見込む」と表現するのが正確ね。
2026年6月期は売上18%増、営業利益率6.9%を予想
会社予想では、2026年6月期の売上高は前期比18.0%増の50.16億円、営業利益は3.45億円、営業利益率は6.9%です。
| 事業区分 | 2026年6月期予想 | 前期比 | 3Q進捗率 |
| Marketing Solution | 40.15億円 | 27.7%増 | 75.2% |
| Consumer | 4.80億円 | 10.2%増 | 72.9% |
| その他 | 5.20億円 | 22.4%減 | 88.4% |
| 全社売上高 | 50.16億円 | 18.0%増 | 76.4% |
第3四半期時点で営業利益は通期予想の93.8%、経常利益は96.6%、純利益は96.7%まで進捗しています。
ただし会社は、第4四半期に大口顧客からの受注減少、人員増加、上場準備費用などを見込んでおり、単純に3Q利益を4倍して通期利益を予測するのは適切ではありません。
黒字化の持続性はまだ検証段階
売上高は2021年6月期の20.93億円から2025年6月期の42.51億円へ約2倍に拡大し、赤字も大幅に縮小しました。販管費を抑えながら主力事業を伸ばしており、収益構造の改善は確認できます。
ただし、通期黒字はまだ確定前で、継続的な利益実績はありません。従業員数も232人→208人→183人と減少した後、193人→191人と推移し、2026年5月末時点は174人です。単純な一方向の人員削減だけで黒字化したと捉えるのではなく、事業構成の見直しと主力事業の成長を合わせて評価すべきです。
また、営業キャッシュ・フローは2024年6月期が△5.87億円、2025年6月期が△0.82億円でした。赤字幅は改善していますが、安定的に現金を生み出す力は今後の確認事項です。
ちょく2026年3月末の繰越利益剰余金は△11.15億円で、2026年6月期の配当予想は0円です。現時点では配当ではなく、事業成長による企業価値向上を目指す銘柄と考えた方がよいでしょう。
公開価格230円のPERは何倍?バリュエーションを検証

会社予想の1株当たり利益(EPS)は16.88円です。公開価格230円を単純にEPSで割ると、予想PERは約13.6倍になります。
一方、公募後の上場時発行済株式数20,738,108株を使い、上場時時価総額約47.70億円を予想純利益3.31億円で割ると、時価総額ベースの予想PERは約14.4倍です。
2つのPERに差が出るのは、会社予想EPSが2026年6月期の期中平均株式数を基準に計算される一方、公募増資は期末後に行われるためです。IPOサイトによってPER表示が異なる場合は、計算に使った株式数を確認してください。
上場時時価総額を2026年6月期予想売上高で割った予想PSRは約0.95倍です。利益が計画どおり定着すれば過度に高い価格設定とは言いにくい一方、2026年6月期は初めて通期黒字を見込む段階です。
ちょくPERだけで割安と決めつけるのは早計です。
IPO需給を分析|吸収金額は軽めだが、売出比率81.3%

プラス材料:15.66億円の吸収金額と230円の値ごろ感
- OAを含む吸収金額は約15.66億円で、グロース市場のIPOとして極端に重い規模ではない
- 100株2万3,000円と最低投資金額が小さく、個人投資家が参加しやすい
- デリッシュキッチンの知名度が高く、事業内容を理解しやすい
- 公開価格は仮条件上限で決まり、ブックビルディングでは公開株数を上回る需要が確認された
- 売出株4,815,100株のうち1,434,900株が海外投資家に販売され、国内の売出株数は3,380,200株
海外販売があることで国内個人投資家だけに売出株が集中するわけではありません。
ただし、海外配分があること自体が上場後の買い需要を保証するわけではありません。
マイナス材料:既存株主の換金色が強い
OAを除く公募・売出株数は5,920,400株です。このうち売出株は4,815,100株で、売出比率は81.3%に達します。OAまで含めると、市場に出る公開株の83.8%が売出し・OAです。
上場時発行済株式数に対する公開株数の割合(オファリングレシオ)は約32.8%です。既存株主の換金ニーズが大きく、需給だけを見れば「売り物が少ない超小型IPO」ではありません。
ただし、公募による新株発行も1,105,300株あり、会社にはOAに伴う第三者割当増資を含め最大約4.01億円の手取り資金が入る予定です。資金は採用・人件費に3.11億円、広告宣伝費に0.90億円を充当します。
ちょく売出しだけのIPOではありません。
吸収金額・オファリングレシオ・OAの意味
吸収金額:公募・売出し・OAの株数に公開価格を掛けた金額です。一般に小さいほど需給が引き締まりやすい傾向がありますが、初値上昇を保証する指標ではありません。
オファリングレシオ:上場時発行済株式数に対して、IPOで市場に放出される株数の割合です。高いほど上場直後の流通株が多くなります。
OA:オーバーアロットメントによる売出しです。エブリーでは888,000株が実施されます。主幹事は借入株式を返却するため、2026年8月28日までシンジケートカバー取引を行う場合がありますが、買付けを行う義務はなく、公開価格での下支えが保証されるわけではありません。
ロックアップを確認|345円は「上限」ではなく早期売却可能ライン

エブリーのロックアップは大きく2種類に分かれます。
| 対象 | 期間 | 主な条件 |
| 吉田大成氏、KDDI、味の素、伊藤忠食品、加藤産業など | 上場日から180日目の2027年1月30日まで | 主幹事の事前承諾なしで売却等を行わない |
| WiL、DCM、グロービス、SMBCベンチャーキャピタルなど | 上場日から90日目の2026年11月1日まで | 原則売却不可。ただし公開価格の1.5倍以上で、主幹事を通じて行う売却等は対象外 |
公開価格230円の1.5倍は345円です。株価が345円以上になると、90日ロックアップ対象のVCが期間中でも売却できる条件を満たします。
ただし、345円に到達した瞬間に必ず売却されるわけではありません。また、345円は株価の絶対的な上限でもありません。あくまで一部株主が期間中に売却可能となる契約条件であり、市場では潜在的な売り圧力として意識されやすい水準です。
さらに、すべてのロックアップについて主幹事は裁量で合意の一部・全部を解除したり、期間を短縮したりできます。「345円未満なら大株主の売りが絶対に出ない」とは言い切れません。
契約上の期限は2026年11月1日と2027年1月30日ですが、いずれも休日です。
ちょく実際に市場で売却可能性が意識されるのは、原則として次の営業日である2026年11月2日、2027年2月1日以降です。
最大の事業リスク|KDDIグループ向け売上の減少

エブリーIPOで特に確認したいのが、KDDIグループとの取引です。
| 取引先 | 2025年6月期売上 | 全社売上に占める割合 |
| KDDI | 1億9,846万円 | 約4.7% |
| auコマース&ライフ | 4億5,135万円 | 約10.6% |
| KDDIグループ合計 | 6億4,981万円 | 約15.3% |
目論見書では、au PAY マーケット上のライブコマース共同運営契約について、auコマース&ライフから2026年9月30日をもって終了する旨の通知を受けており、以後、同社への販売が減少する可能性が高いと記載されています。
注意したいのは、KDDIグループ向け売上6.50億円のすべてが一度に消えると決まったわけではないことです。契約終了と直接結びつくのは主にauコマース&ライフ向け4.51億円であり、KDDI本体との別の取引まで終了すると開示されているわけではありません。
また、2026年6月期会社予想は、その他ビジネスの売上を前期比22.4%減と見込み、第4四半期の大口顧客受注減少も織り込んでいます。したがって、KDDI関連の減収影響が2026年6月期予想にまったく反映されていないという説明は正確ではありません。
ただし、契約が終了するのは2026年9月30日です。2027年6月期第1四半期(7~9月)には契約期間が含まれるため、終了後3カ月が丸ごと反映されるのは第2四半期(10~12月)です。
ようこ中長期投資では、2027年6月期第2四半期まで確認し、主力のMarketing Solutionビジネスが減収分を補えるかを見極めたいところね。
エブリー(607A)の初値予想|外部予想は230~400円と分散

独立系IPO情報サイトが公開している予想を比較すると、次のように幅があります。各サイトの更新時点や算定方法が異なるため、単純な平均ではなく参考材料として確認してください。
| 予想サイト | 初値予想 | 確認時点・補足 |
| 庶民のIPO | 250~300円 | 公開価格230円を基準 |
| かぶリッジ | 299~344円 | B評価・想定価格の1.3~1.5倍未満 |
| IPOゲッターの投資日記 | 330~345円 | 第2弾予想 |
| やさしいIPO株のはじめ方 | 230~400円 | 2026年6月30日時点 |
予想レンジ全体は230~400円と広いものの、比較的新しい予想は250~345円付近に集まっています。公開価格を上回る予想が多い一方、公開価格と同水準を下限とする予想もあり、公募割れリスクを無視できる案件ではありません。
345円前後が意識されるのは、公開価格の1.5倍でVCの早期売却条件に達するためです。
ただし、外部予想が345円付近に集中していても、実際の初値は上場日の市場環境、直前IPOの結果、買い注文・売り注文のバランスによって大きく変わります。
初値を左右する主な要因
- IPO地合い:上場直前のグロース市場と他のIPO初値
- 値ごろ感:100株2万3,000円で参加しやすいこと
- 知名度:デリッシュキッチンの認知度による個人投資家需要
- 売出比率:既存株主の換金色と公開株数の多さ
- 345円ライン:一部VCのロックアップ早期解除条件
- 業績評価:初の通期黒字予想を市場がどこまで評価するか
エブリーIPOは買いか?立場別の判断ポイント

ここからは、購入申込・初値買い・中長期投資に分けて判断材料を整理します。特定の売買を推奨するものではなく、リスク許容度によって結論は変わります。
IPOに当選し、購入申込を迷っている場合
公開価格230円、最低投資金額2万3,000円、吸収金額約15.66億円、上限決定時の需要状況を考えると、公募参加を検討できる条件です。ただし、売出比率が高く、公募割れの可能性はあります。
「10%下落しても損失は2,300円」と下落幅を決めつけてはいけません。株価の下落率に10%の上限はなく、100株を230円で買った場合の投資元本は2万3,000円です。理論上は元本の大部分を失う可能性があります。
購入判断では、次の3点を確認してください。
- 公募割れしても許容できる余裕資金か
- 初値売却・継続保有のどちらを選ぶか、事前に決めているか
- 証券会社ごとの購入期限と辞退時の扱いを確認したか
初値買い・セカンダリー投資を検討する場合
初値買いでは、公開価格で当選した投資家より高い価格からリスクを取ることになります。特に初値が330~345円前後まで上昇した場合、公開価格比で約43~50%上昇しており、VCの早期売却条件にも近づきます。
| 初値水準 | 考え方 |
| 230~270円程度 | 公開価格との乖離は小さいが、公募割れ後の売り圧力や出来高を確認。安いだけで飛びつかない |
| 270~330円程度 | 業績評価と需給のバランスを見ながら、損切り基準と投入額を事前に決める |
| 330~345円前後 | 短期過熱とVCロックアップ条件を意識。高値追いのリスクが上昇 |
| 345円超 | 一部VCが期間中でも売却可能。強い買い需要が続くか慎重に確認 |
シンジケートカバー取引は2026年8月28日まで行われる可能性がありますが、必ず実施されるものではありません。「公開価格近辺では主幹事が必ず支える」と考えないようにしてください。
中長期投資を検討する場合
中長期では、デリッシュキッチンの知名度よりも、次のKPIを追うことが重要です。
- Marketing Solutionビジネスの売上成長率
- ロイヤル顧客数と顧客単価
- 営業利益率と営業キャッシュ・フロー
- KDDI・auコマース&ライフ向け売上の減少幅
- 店頭デジタルサイネージ設置台数と小売企業との連携
- 採用・広告宣伝費を増やした後も利益成長を維持できるか
KDDI関連契約終了後の影響を確認するなら、2027年6月期第1四半期だけでなく、第2四半期まで見る方が実態を判断しやすくなります。
ボッチ長期投資では上場初日に買う必要はなく、決算を確認してから判断する選択肢もあるよ。
NISAで買う場合の注意点
上場後のエブリー株は、原則としてNISAの成長投資枠で購入対象になり得ます。
ただし、IPO当選株をNISA口座で購入できるかは、証券会社の取扱い・申込方法・口座設定によって異なります。利用する証券会社の公式案内を確認してください。
NISA口座で生じた損失は、課税口座の利益と損益通算できず、翌年以降への繰越控除もできません。
ちょく値動きが大きくなりやすいIPO銘柄をNISAで保有する場合は、非課税メリットだけでなく、損失時の扱いも理解しておきましょう。
エブリーIPOのメリット・デメリット

プラス材料
- デリッシュキッチンの高い知名度と大規模な利用者基盤
- オンライン広告と店頭リテールメディアを横断する事業モデル
- Marketing Solution売上が高成長
- ロイヤル顧客が42社から62社へ増加
- 2026年6月期は通期黒字転換を予想
- 吸収金額が約15.66億円で極端に重くない
- 100株2万3,000円で参加しやすい
注意材料
- 開示された過去5期は赤字で、通期黒字の持続性は未確認
- 売出比率81.3%で既存株主の換金色が強い
- VC等の保有比率31.43%
- 345円以上で一部VCが期間中でも売却可能
- KDDIグループ向け売上が2025年6月期の15.3%
- auコマース&ライフとの契約が2026年9月末で終了
- 営業キャッシュ・フローの黒字定着を今後確認する必要
- 潜在株式9.78%による希薄化リスク
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エブリー(607A)IPOのよくある質問
- エブリー株は最低いくらで買えますか?
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公開価格で100株を購入する場合は2万3,000円です。証券会社によって手数料等がかかる場合があります。上場後の最低購入金額は株価によって変動します。
- エブリーの上場日はいつですか?
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2026年8月4日(火)です。IPO当選者の購入申込期間は2026年7月28日から7月31日までですが、証券会社ごとの締切時刻を確認してください。
- 公開価格230円は割高ですか?
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2026年6月期会社予想EPS16.88円を使う単純計算では予想PER約13.6倍、公募後時価総額と予想純利益を使うと約14.4倍です。極端に高いとは言いにくい一方、通期黒字はまだ予想段階であり、利益の持続性を確認する必要があります。
- 初値予想はいくらですか?
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2026年7月27日時点で確認した独立系IPO情報サイトの予想は230~400円と幅があります。比較的新しい予想は250~345円付近ですが、上場日の地合いによって公募割れや予想超過もあり得ます。
- 345円が上値の限界ですか?
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いいえ。345円は公開価格230円の1.5倍で、一部VCが90日のロックアップ期間中でも主幹事を通じて売却できる条件です。必ず売却されるわけでも、株価が345円を超えないわけでもありません。
- KDDIとの取引はすべて終了しますか?
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すべてではありません。終了通知が開示されているのは、auコマース&ライフとのau PAY マーケットのライブコマース共同運営契約です。KDDI本体との別の取引まで一括して終了すると開示されているわけではありません。
- NISAの成長投資枠で買えますか?
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上場後は原則として成長投資枠の対象になり得ます。ただし、IPO当選株をNISAで購入できるかは証券会社によって異なります。NISA口座の損失は損益通算・繰越控除ができない点にも注意してください。
まとめ|知名度だけで買わず、黒字の持続性とKDDI減収後を確認する

- 公開価格は230円、最低投資金額は2万3,000円
- 吸収金額は約15.66億円、オファリングレシオは約32.8%
- 売出比率は81.3%で、VC等の保有割合も高い
- 開示された過去5期は赤字、2026年6月期は初の通期黒字を予想
- 予想PERは計算方法により約13.6~14.4倍
- 345円は一部VCのロックアップ早期売却条件であり、絶対的な上限ではない
- KDDIグループ向け売上は前期売上の約15.3%、auコマース&ライフとの一部契約は2026年9月末終了
- 中長期では2027年6月期第2四半期までの業績確認が重要
エブリーは、デリッシュキッチンという大規模なユーザー接点と、店頭サイネージを中心とするリテールメディア基盤を持つ点が魅力です。主力のMarketing Solutionビジネスが伸び、2026年6月期は通期黒字転換を見込んでいます。
その一方で、売出比率の高さ、VC株、潜在株式、KDDIグループ向け売上減少は無視できません。IPO当選者は最低投資額の小ささだけでなく、元本の大部分を失う可能性まで含めて判断する必要があります。
初値買いでは345円前後の需給、中長期では契約終了後の業績を確認しましょう。
ちょく「知っているサービス」かどうかではなく、成長率・利益率・キャッシュ・需給を確認して、自分の損失許容額に合うかで判断することが大切です。
一次情報・参考資料
- 株式会社エブリー公式サイト
- 株式会社エブリー|サービス紹介
- 株式会社エブリー|会社概要
- 株式会社エブリー|Purpose・Mission
- 株式会社エブリー|ニュース・IR資料
- EDINET|有価証券届出書・訂正届出書
- 日本取引所グループ|新規上場会社情報
- 株探|エブリー(607A)基本情報
- 株探|エブリー(607A)業績・財務
- 株探|エブリー(607A)大株主
- 東京IPO|エブリーIPO情報
- 松井証券|エブリーIPO情報
※本記事は、企業開示資料および公開情報を整理した情報提供を目的とするもので、特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。業績予想・初値予想は将来の結果を保証しません。投資判断は、最新の目論見書、適時開示、証券会社の公式情報を確認したうえで、ご自身の判断と責任で行ってください。






