暴落の朝だった。カーテンの隙間から白い光が差し込む頃、俺はまだスマホを握りしめていた。証券口座の画面は、上から下まで赤。含み損の数字が、頭の中をぐるぐる回って離れない。売却ボタンの上で親指が震えて、押すに押せない。眠れないまま迎えた朝の、あのざらついた感覚——あなたにも、覚えがないか?
手法は知っている。移動平均線もPERも、積立の理屈も、頭では全部わかっている。なのに、いざ相場が牙をむくと、感情に飲まれて全部ぶち壊す。俺は15年、それを何度も繰り返してきた。300万を溶かし、情報商材に80万を貢ぎ、レバレッジ商品で1か月で資産を半分にした。妻から「投資を趣味と割り切れないなら辞めてくれ」と通告されたこともある。
そんな“負け組の帝王”だった俺を、どん底で拾ってくれた一冊がある。孫子の兵法だ。2500年前に書かれた「戦争の本」。株となんの関係があるんだ、と思うだろ?ところが、これが効く。恐ろしく効く。なぜなら孫子は「いかに勝つか」ではなく「いかに負けないか」を突き詰めた本だからだ。そして相場で退場する原因は、いつだって“攻め”じゃなく“守りの欠如”なんだ。
この記事では、孫子の数ある格言の中から、株式投資に本当に効くおすすめの7つだけを厳選して紹介する。ただの名言集じゃない。一つひとつを「じゃあ明日、口座で何をすればいいか」というレベルまで翻訳する。そして俺が実際にその教えを破って大損した“屍”も、包み隠さず晒す。
先に言っておく。「孫子を読めば儲かる」なんて口が裂けても言わない。孫子は儲ける技術の本じゃない。生き残る技術の本だ。でもな、相場は生き残ってさえいれば、時間がお前を勝たせてくれる。だから今日は、勝ち方じゃなく「負けない型」を一緒に身につけていこう。
そもそも「孫子の兵法」とは?なぜ株式投資にこれほど効くのか

結論から言う。孫子の兵法が投資に効くのは、それが「負けないための思想」で一貫しているからだ。長期で資産を築く投資の王道と、DNAが完全に一致している。
孫子ってのは、今から約2500年前、中国の春秋時代に書かれたとされる兵法書だ。全13篇からなる。ここで多くの人が勘違いするんだが、孫子は「敵をどう華々しく打ち倒すか」を説いた本じゃない。むしろ真逆で、「どうすれば無駄な戦いを避けられるか」「どうすれば負けずに済むか」に、ほとんどのページを割いている。
考えてみてくれ。投資で退場する奴は、なぜ退場するのか。地味に積み立ててる奴が退場することは、まずない。退場するのは決まって、レバレッジをかけて、一点集中して、イキった“攻め”をやった奴だ。俺がそうだった。だから、攻めより守りを説く孫子は、投資と相性が良すぎるんだ。
経営者や名だたる投資家が孫子を座右の書に挙げる、という話も昔からよく聞くだろう。ビジネスや投資の第一線で戦ってきた人間ほど、「派手に勝つこと」より「致命傷を負わないこと」の価値を知っている。だからこそ、彼らは古典に戻ってくる。
ボッチえー、孫子って戦争の本でしょ?株となんの関係があんの?なんか難しそうだし、そんなの読まなくてもチャートさえ見てればよくない?
ちょくそれが大アリなんだよ、ボッチ。孫子は“負けない戦い方”の本だ。相場で一番先に死ぬのは、チャートを見てイキって攻めた奴だぞ。お前みたいなな。
- 孫子は「勝つ本」ではなく「無駄な負けを避ける本」。だから長期投資と噛み合う。
- 投資で退場する原因の大半は“攻めすぎ”。守りを説く孫子はそこにブレーキをかけてくれる。
- 格言は「暗記」して終わりではなく「自分の売買ルール」に変換して初めて武器になる。
【厳選】株式投資に効く孫子の兵法・おすすめ格言7選

孫子の格言は、それこそ星の数ほどある。全部覚えようとすると、それこそ“情報過多で消耗する”という孫子が一番嫌う状態になる。だから絞った。投資で本当に効くのは、この7つでいい。優先度の高い順に並べたから、上から順に自分の中に落としていってくれ。
各格言は「原文と読み → 本来の意味 → 投資への翻訳 → 俺の失敗談 → 明日からのアクション」の順で解説する。特に“俺の失敗談”は、読んでて恥ずかしくなるレベルで晒すから、反面教師にしてくれ。
【第1位】彼を知り己を知れば百戦殆からず──主役は“敵”じゃなく“己”だ
彼を知り己を知れば、百戦して殆(あや)うからず(知彼知己、百戦不殆)── 謀攻篇
あまりに有名な一節だな。本来の意味は「敵の実力と自分の実力を正確に把握していれば、何度戦っても危険な目には遭わない」ということだ。だが投資で本当に大事なのは、後半の「己を知る」の方だと俺は断言する。
なぜか。「彼を知る」=銘柄分析や相場研究は、みんな一生懸命やる。決算も読むし、PERも見る。でも「己を知る」=自分のリスク許容度やメンタルの弱点を測ってる奴は、ほとんどいない。ここが最大の盲点なんだ。どれだけ良い銘柄を見つけても、自分の器を超えた金額を突っ込めば、ちょっと下げただけで手が震えて狼狽売りする。俺がそうだった。
投資を始めて3か月、ビギナーズラックで40万の含み益が出た時、俺は完全に勘違いした。「俺、投資のセンスあるんじゃね?」ってな。そこから自分の器も知らずに、根拠のない個別株集中投資に突っ込んで、半年で300万を溶かした。給料が補填に消えていく日々。あの時の俺は「彼(銘柄)」ばかり見て、「己(自分がどれだけ含み損に耐えられるか)」を1ミリも見ていなかった。
ようこ“己を知る”って、具体的には何を知ればいいんですか?自分の性格とか、ざっくりしすぎててよくわからなくて…。
ちょく単純だ。「資産がいくら減ったら、夜中に目が覚めて売りたくなるか」だよ。その金額が、お前の本当のリスク許容度だ。性格論じゃない、金額で出せ。
「投資資産が○%(○万円)下がったら、平常心でいられなくなる」という数字を紙に書き出す。その金額を超えるポジションは持たない。これがお前の“不敗の防衛線”になる。
【第2位】勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求む──買う前に、勝ってろ
勝兵は先ず勝ちて而(しか)る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む(勝兵先勝而後求戦、敗兵先戦而後求勝)── 軍形篇
これ、俺が一番刺さった格言かもしれない。意味はこうだ。「勝つ軍隊は、勝てる状況を作ってから戦う。負ける軍隊は、まず戦いを始めてから、勝つ方法を探す」。
これを投資に翻訳すると、こうなる。「買う理由・売る理由・損切りラインを決めてから買え」。ところが世の中の9割の個人投資家は逆をやる。まず“ノリ”で買う。SNSで話題だから、なんとなく上がりそうだから、で買う。そして下がってから初めて「どうしよう」と考え始める。これが孫子の言う「敗兵」だ。
昔の俺は、まさに敗兵の見本市だった。買う時に考えているのは「いくら儲かるかな」だけ。「いくら下がったら撤退するか」なんて一度も決めずにエントリーする。だから下がると身動きが取れない。「もう少し待てば戻るはず」で塩漬け、耐えきれなくなって底値で狼狽売り。この“塩漬け→狼狽売り”のフルコースを、俺は何十回とやった。
プロのトレーダーが淡々と勝てるのは、才能じゃない。エントリーする前に「勝ち負けの条件」が全部決まっているからだ。
ちょく彼らは“勝ってから戦って”いる。感情が入る余地がないんだ。
買う前に、この1行メモを必ず書く。「①なぜ買うのか ②いくらで利確するか ③いくらで損切るか」。この3つが埋まらない銘柄は、まだ“勝つ準備”ができていない証拠だ。買うな。
【第3位】善く戦う者は、先ず勝つべからざるを為す──“不敗の地”に立て
昔の善く戦う者は、先ず勝つべからざるを為して、以て敵の勝つべきを待つ(昔之善戦者、先為不可勝、以待敵之可勝)── 軍形篇
意味は「昔の戦上手は、まず“自分が絶対に負けない態勢”を整えてから、敵が隙を見せる(勝てる状況になる)のをじっと待った」ということだ。勝ちは、自分から取りにいくものじゃない。まず負けない態勢を作れば、勝機は向こうから転がり込んでくる、という思想だな。
投資における「不敗の地」とは何か。俺の答えはこうだ。生活防衛資金・分散・入金力。この3つが揃った状態だ。暴落が来ても、生活費に手をつけずに済み、一つの銘柄の暴落で全滅せず、給料からまた買い増せる。この状態なら、どんな相場が来ても“退場”だけはしない。そして株の世界では、退場さえしなければ、暴落という「安売りセール(=敵の隙)」が数年に一度、必ず向こうからやってくる。
俺が300万溶かした時、最悪だったのは生活防衛資金がゼロだったことだ。余剰資金どころか、生活費まで相場に突っ込んでいた。だから暴落と、たまたま重なった車の修理代とで、一番売っちゃいけない底値で株を投げ売りする羽目になった。あの時、現金のクッションが半年分あれば、俺は“待つ”ことができた。不敗の地に立っていなかったんだ。
- 生活防衛資金:生活費の6か月分は「現金」で確保。これは投資に回さない“聖域”。
- 分散:1銘柄・1テーマに資産を集中させない。インデックスなら1本で数百〜数千社に自動分散できる。
- 入金力:暴落を「買い場」に変えられるのは、給料から積み立て続けられる人間だけ。
まず生活費6か月分を現金で確保できているか確認する。できていないなら、投資額を増やす前にそっちが先だ。“不敗の地”を作るのが、勝ちにいくより先。
【第4位】戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり──最強の一手は“何もしない”
百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり(百戦百勝、非善之善者也。不戦而屈人之兵、善之善者也)── 謀攻篇
これが孫子の真骨頂だ。「百戦して百勝するのは、最善ではない。戦わずして敵を屈服させることこそ、最善の中の最善だ」。戦えば、勝っても必ず消耗する。だから最強なのは“戦わずに勝つ”ことなんだ、と孫子は言う。
投資に置き換えると、これはもう痛烈だ。最高の一手は、しばしば「売買しないこと」だ。売買するたびに、手数料がかかり、利益には税金がかかり、そして何より“判断ミスの機会”が増える。動けば動くほど、勝率は市場平均から遠ざかっていく。逆に、低コストのインデックスファンドを積み立てて、あとは“放置”する。これこそ「戦わずして勝つ」の投資版なんだ。
復活する前の俺は、暇さえあれば売買していた。少し上がれば「利確しなきゃ」、少し下がれば「損切りしなきゃ」。1日に何度も口座を開いては、ちょこちょこ売ったり買ったり。結果どうなったと思う?往復の手数料と、細かい税金と、ビビって売った後の高値掴みの繰り返しで、ただ持っていれば勝てたはずの指数に、俺は延々と負け続けた。動きすぎて、自分で自分の資産を削っていたんだ。
ちょく投資の世界には「Time in the market beats timing the market(相場に居続けることは、タイミングを計ることに勝る)」って有名な言葉がある。これ、まさに孫子の「戦わずして勝つ」と同じことを言ってるんだよ。
売買回数に上限を設ける。「積立以外の売買は月○回まで」とルール化するだけで、無駄な戦いが激減する。“見ない勇気”こそ、初心者最強の武器だ。
【第5位】主は怒りをもって師を興すべからず──感情で売買するな
主は怒りをもって師を興すべからず、将は慍(いか)りをもって戦いを致すべからず(主不可以怒而興師、将不可以慍而致戦)── 火攻篇
「君主は、怒りにまかせて戦争を起こしてはならない。将軍は、腹立ちにまかせて戦ってはならない」。孫子は、感情で始めた戦いが国を滅ぼすことを、誰よりも知っていた。怒りはいずれ消えるが、滅んだ国は二度と戻らない、とまで言っている。
これを投資でやらかすと、口座が滅ぶ。リベンジ売買、FOMO(乗り遅れる恐怖)、狼狽売り——投資で人が破滅する時、その引き金はたいてい“感情”だ。損を取り返そうと熱くなる。他人が儲けてるのを見て焦る。暴落が怖くて投げ売る。全部、孫子が「やるな」と言った“怒りの開戦”そのものだ。
俺の人生最大の“怒りの開戦”を白状する。個別株で大損した後、俺は完全に頭に血が上っていた。「この損を一発で取り返してやる」。そう思って、レバレッジのかかった商品に、なけなしの資金を全力で突っ込んだ。「絶対に上がる」という、なんの根拠もない確信だけを握りしめて。結果は——1か月で資産が半分になった。売却ボタンを押す指先が、氷みたいに冷たかったのを今でも覚えている。その夜、家族に「投資を趣味と割り切れないなら、辞めてくれ」と静かに言われた。あれは、怒りが起こした戦争の“戦後処理”だった。
「イラッ・焦り・悔しい」——このどれかを感じたら、その日は絶対に注文を出さない“24時間ルール”を課す。感情のピークで下した判断は、9割が間違いだ。一晩寝れば、たいていの“戦争”は起こさずに済む。
【第6位】兵の形は水に象る──予測するな、対応せよ
夫(そ)れ兵の形は水に象(かたど)る。水の形は高きを避けて下(ひく)きに趨(おもむ)き、兵の形は実を避けて虚を撃つ(夫兵形象水)── 虚実篇
「軍の形は、水のようであれ」。水に決まった形がないように、優れた軍隊も決まった型に固執せず、相手に応じて自在に形を変える——という教えだ。孫子は「これさえやれば必ず勝てる、という固定の必勝法はない」と、はっきり言い切っているわけだ。
ここから投資家が学ぶべきは、たった一つ。相場は予測できない。だから“予測”ではなく“対応”で戦えということだ。「日経は来月2万円上がる」「この銘柄は絶対10倍」——そういう予測に賭ける投資は、水に決まった形を求めるようなもので、いつか必ず外れる。そうじゃない。来た波に、決めたルールで淡々と対応する。それが水のように強い投資家だ。
俺は長いこと「予測」で戦っていた。チャートとにらめっこして、「ここが底だ」「ここが天井だ」と読んでは外し、読んでは外し。当たった時は自分の実力だと思い込み、外れた時は運のせいにした。バカだったな。予測をやめて、「毎月一定額を自動で積み立てる」という“対応の仕組み”に切り替えた瞬間、俺の投資は驚くほど楽になった。相場を当てにいかなくていいって、こんなに心が軽いのかと。
「対応」の具体例:ドルコスト平均法ってなんで強いの?
毎月一定“額”を買い続けると、価格が高い時は少なく、安い時は多く買うことになる。つまり、暴落=勝手に「安く多く買う」対応が発動する。相場が上がるか下がるかを予測しなくても、仕組みが自動で有利な買い方をしてくれる。これがまさに「兵の形は水に象る」の実践版だ。ただし万能ではなく、右肩上がりの資産に長期で使ってこそ効く点は覚えておいてくれ。
相場を「当てる」努力をやめる。代わりに積立を自動設定し、配分の見直しは年1回だけ、と決める。予測から仕組みへ。これが“水の投資”だ。
【第7位】兵は詭道なり──相場は“罠”だらけだと知れ
兵は詭道(きどう)なり(兵者、詭道也)── 始計篇
「戦争とは、しょせん騙し合い(詭道)である」。孫子は戦いの本質を、こう身も蓋もなく言い切る。強く見せて油断させ、弱く見せて誘い込む。戦場は、そういう欺きに満ちている、と。
相場も、まったく同じだ。マーケットも、SNSも、広告も、“詭道”=罠だらけだと知っておけ。「絶対に儲かる」「今が最後のチャンス」「この銘柄はまだ誰も知らない」——こういう甘い言葉は、ほぼ全部が罠だ。ここで一番大事な心構えを言う。
ちょく「自分が相場を出し抜ける側だ」と思うな。「自分が一番騙されやすいカモだ」と思え。
俺はこの“詭道”に、しっかり80万円払わされた。「10倍株の見つけ方」「億り人の投資術」——そんな謳い文句のセミナーや情報商材に、次から次へと金を溶かした。今思えば、本当に儲かる手法を、なんでわざわざ他人に売るんだ?って話だよな。売ってる本人が一番儲かる仕組み、それこそが詭道だった。俺は出し抜くつもりで、見事に出し抜かれる側にいた。
ボッチ“兵は詭道”ってことはさ、つまり俺も相場を騙して、うまいこと出し抜いて勝てるってことっしょ?よし、やってやる!
ちょく逆だっつってんだろ。お前が一番、騙されやすいカモだって話だ。「絶対」「今だけ」「限定」に飛びつく奴から順に溶けていく。頼むから、俺の屍を越えてくれ。
「絶対・急げ・限定」——この3語のどれかが出てきた話からは、一旦離れる。そして「この話で得をするのは誰か?」を必ず考える。うまい話の出所を疑う癖が、お前の資産を守る。
ここまでの7つを、一枚の表にまとめておく。迷った時はここに戻ってこい。
| 順位 | 格言 | 投資での意味(超要約) |
| 1 | 彼を知り己を知れば百戦殆からず | 銘柄より“自分”を知れ(リスク許容度) |
| 2 | 勝兵は先ず勝ちて而る後に戦う | 買う前にルールを決めろ |
| 3 | 先ず勝つべからざるを為す | 退場しない土台を作れ(不敗の地) |
| 4 | 戦わずして人の兵を屈する | 売買するな、放置が最強 |
| 5 | 怒りをもって師を興すべからず | 感情で売買するな |
| 6 | 兵の形は水に象る | 予測でなく対応(仕組み化) |
| 7 | 兵は詭道なり | 相場は罠だらけ、うまい話を疑え |
危険!孫子の格言を“誤読”すると大損する初心者の3つのワナ

ここからが本番だ。というのも、古典ってのは切り取り方を間違えると、途端に凶器になる。孫子の格言も例外じゃない。都合よく誤読して、逆に大損への言い訳に使う奴が後を絶たない。
ちょく俺も通った道だから、先に潰しておく。この3つのワナには、絶対にハマるな。
ワナ①「兵は拙速を尊ぶ」→“短期売買でガンガン回せ”という誤読
孫子には「兵は拙速を聞くも、未だ巧の久しきを睹(み)ざるなり」という一節がある。これを「多少雑でもスピード重視、だから投資も短期でガンガン回すのが正解」と読む奴がいる。完全な誤読だ。
この格言の本当の意味は「戦争はダラダラ長引かせると国が疲弊するから、やるなら短期で決着をつけろ」だ。
つまり“無駄に長引く消耗戦を避けろ”という話であって、“頻繁に売買しろ”という話じゃ全くない。むしろ短期売買こそ、手数料と税金と精神をすり減らす“消耗戦”そのもの。孫子が一番嫌うやつだ。
ようこ長期の積立保有と、この格言は矛盾しないわ。
ワナ②「兵は詭道なり」→“自分も相場を出し抜ける”という誤読
さっきも触れたが、これは超重要だからもう一度言う。「騙し合いが本質なら、自分も他人を出し抜いて短期で儲けよう」——この発想が一番危ない。
相場で日々戦っているのは、億単位の資金と最先端のシステムを持ったプロの機関投資家だ。片手間の個人が、その連中を情報とスピードで出し抜けると思うか?
「兵は詭道なり」は、“出し抜け”という攻めの教えじゃない。“騙されるな”という守りの教えだ。ここを反対に読むと、情報商材や煽り屋の格好のカモになる。かつての俺のようにな。
ワナ③「死地に投じて然る後に生く(背水の陣)」→“全力集中・レバレッジ”という誤読
孫子には「兵を死地に投じてこそ活路が開ける」という趣旨の教えがある(後世の「背水の陣」の元になった思想だ)。これを「退路を断って全財産を一点に賭ければ、火事場の底力で勝てる」と読む奴がいる。断言する。投資でこれをやったら、ただの自滅だ。
そもそも孫子における「死地」は、追い込まれた時の“最終手段”であって、推奨されるスタンダードな戦法じゃない。孫子の本筋は、あくまで「そんな死地に追い込まれる前に、不敗の地に立っておけ」だ。
日常の運用で自ら退路を断つ——つまり生活費まで突っ込む、レバレッジでフルポジる——なんてのは、孫子の思想を180度読み違えている。
俺がレバレッジ商品で1か月で資産を半分にしたのは、まさにこの誤読の産物だ。「ここで勝負をかければ一発逆転できる」と、自分から死地に飛び込んだ。返ってきたのは活路じゃなく、含み損とスマホを握る震える手と、家族の静かな通告だった。
ちょく背水の陣は、韓信みたいな天才が、勝算を計算し尽くした上で一度だけ切る“奥の手”だ。凡人が日常でやる手じゃない。
- 拙速=短期売買OK、ではない(無駄な消耗戦を避けよ、が本意)
- 詭道=自分も出し抜ける、ではない(騙されるな、という守りの教え)
- 死地=全力集中・レバレッジ、ではない(最終手段であって日常戦法ではない)
孫子×新NISA|格言を“実戦”に落とし込む4ステップ

ここまで読んで「いい話だった」で終わるなら、この記事を読んだ意味は半分もない。格言は所詮、思想のOSでしかない。今日の口座操作に落として初めて武器になる。
ってことで、7つの格言を“実戦”に変換する4ステップを用意した。
ようこちょうど今は新NISAという最高の“戦場”がある。使わない手はないわ。
まず自分のリスク許容度を金額で書き出す。「○万円減ったら夜眠れない」の数字だ。そして生活費6か月分を現金で確保する。ここが“不敗の地”の土台。銘柄選びより、これが先だ。
新NISAの「つみたて投資枠」で、低コストのインデックスファンドを選ぶ。信託報酬は年0.1%前後以下が一つの目安(数値は執筆時点・一般論)。全世界株式やS&P500連動型なら、1本で世界中に自動分散できる。これが個人にとっての“不敗の地”だ。
積立を「自動」に設定して、あとは基本“放置”。相場を予測して売ったり買ったりしない。むしろ「見ない」。予測から仕組みへ切り替えて、余計な戦いを回避する。ここで動きたくなる自分との戦いが、実は一番きつい。
暴落が来た時にどう動くか(買い増す?何もしない?)を、平常心の“今”のうちに紙に書いておく。感情がピークの本番で決めるな。ルールを先に作っておけば、狼狽売りという“怒りの開戦”を防げる。
この4ステップを、孫子の言葉でまとめ直すとこうなる。「己を知り」「不敗の地に立ち」「戦わずして勝ち」「先に勝ってから戦う」。派手さは一切ない。でも、これが2500年の時を超えて生き残った“負けない型”だ。
ようこ結局、派手なテクニックより、地味な仕組みづくりが最強ってことなんですね。ちょっと拍子抜けするくらいシンプルです。
ちょくそう。孫子も2500年前から同じことを言ってる。“地味に負けない奴”が、最後の最後まで戦場に立ってるんだ。派手に勝った奴じゃなくてな。
元本割れのリスクは、どんなやり方をしても消えない。そこは正直に言っておく。
だが、この4ステップは「大勝ち」を狙う型じゃなく「大負けしない」型だ。リスクをゼロにはできないが、致命傷を避ける確率は確実に上がる。
もっと孫子を学びたい人へ|投資に活かす“おすすめの読み方”

「もっと孫子を深掘りしたい」——そう思ってくれたなら、先輩として嬉しい。ただ、学び方を間違えると時間を溶かすから、投資に活かすための“おすすめの読み方”を伝えておく。
孫子の本は、ざっくり3タイプある。自分のレベルに合うところから入ってくれ。
- ①原文・書き下しタイプ:漢文の格調をそのまま味わえるが、初心者にはハードルが高い。
- ②現代語訳タイプ:全13篇を今の言葉で通して読める。まず全体像を掴みたいならここから。
- ③ビジネス・投資向け解説タイプ:格言をビジネスや自己啓発に応用して解説してくれる。実戦に落としたいなら相性がいい。
俺のおすすめは、初心者なら②か③から入ること。そして、これが一番大事なんだが——全部を暗記しようとするな。13篇を丸暗記しても、投資は1円も上手くならない。それより、この記事で一つでも「これ、俺のことだ」と刺さった格言があったなら、それを座右にする方が100倍効く。
そして、投資に活かす最大のコツはこれだ。「読んで終わりにするな。1つの格言を、1つの自分ルールに変換して、紙に書け」。たとえば「怒りをもって師を興すべからず」を読んだら、「イラッとした日は注文しない」という自分ルールに変換する。格言が“ルール”になった瞬間、それはお前の血肉になる。読書メモで終わらせるな。
ちなみに「孫子以外に投資に効く古典は?」ともよく聞かれる。宮本武蔵の『五輪書』も“構え”の話が投資と通じるし、行動経済学の本を読めば「なぜ人は狼狽売りするのか」が理屈でわかる。
ちょくただ、あれもこれもと手を広げると消耗戦になる。まずは孫子の7格言を体に叩き込む。話はそれからだ。
新NISAにおすすめネット証券3社

2024年1月に始まった新NISAの口座開設が加速しています。
金融庁が2026年7月3日に公表した調査によると、2025年12月末時点のNISA口座数は2,821万口座、累計買付額は71兆円に達しました。
ボッチ日本証券業協会の調査を見ると、2026年1~5月だけでも164万口座が新たに開設されているよ。

引用|日本証券業協会|「NISA口座の開設・利用状況調査結果(証券会社10社・2026年5月末時点)」の公表について
ようこ今回紹介するSBI証券・マネックス証券・楽天証券は、いずれも口座開設料と口座維持費が無料です。
ちょく僕は下記の3社とも開設して利用しています。ただし、取引内容によっては為替手数料や信託報酬などがかかる場合はあります。
3社の特徴や良さをそれぞれ紹介するので、参考にしてください。
SBI証券|投資初心者にも使いやすい!つみたて投資枠の対象ファンドが豊富
| つみたて投資枠対象商品 | クレカ積立 | 貯められるポイント |
295本 | 三井住友カード/Olive タカシマヤカード 東急カード アプラスカード UCSマークがついたクレジットカード 大丸松坂屋カード オリコカード | Vポイント dポイント PayPayポイント Pontaポイント JALのマイル |
| ポイント付与率 | 新NISAにおすすめ度 | ポイントの使い道 |
| 0%~最大3.0 % ※年間利用金額に応じて、ポイント付与率が変動する ※三井住友カード Visa Infiniteは最大6.0% | ネット証券口座数No.1※1 新NISA取引は投資信託・国内株式・米国株式・海外ETFの売買手数料が無料 | iD加盟店やVisaのタッチ決済 ANAマイル Vポイント投資など |
※1 SBIの口座数には、2019年4月末以降SBIネオモバイル証券(2024年1月9日、SBI証券と
合併)の口座数、2020年10月末以降SBIネオトレード証券の口座数、2021年8月末以降
FOLIO口座数を含む
SBI証券はこんな人におすすめ!
- ①Vポイント、Pontaポイント、dポイント、PayPayポイント、JALのマイルのどれかを貯めたい人
- ②三井住友カードやOliveを持っている人(クレカ積立でVポイントが貯まる)
- ③最低金額100円という少額から積立投資を始めたい人
- ④手数料を最小限に抑えて投資したい人
- ⑤業績が右肩上がりの安定した企業で投資したい人
キャンペーン情報
SBI証券ではキャンペーンを実施中です。
他のみんなよりもお得な特典をゲットして、新NISAを始めたい方はキャンペーンを利用しましょう。
詳しくはSBI証券キャンペーンの記事をご覧ください。

SBI証券は、つみたて投資枠の商品数が業界トップのネット証券です。
三井住友カードやOliveのクレカ積立などで貯めたVポイントは、国内株式や投資信託の金額指定買付・積立買付に利用できます。
新NISA関連の動画セミナーやシミュレーション機能もあり、投資初心者に手厚く安心です。
SBI証券を利用した人の声を見る
※僕の元同僚や知人に、直接話を聞かせてもらいました。
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283本 | マネックスカード dカード | マネックスポイント dポイント |
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よくある質問(FAQ)
- 孫子の兵法を読めば、株で勝てますか?
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正直に言う。勝てはしない。孫子は「勝つ魔法」じゃないからな。でも、確実に“負けにくく”なる。狼狽売りや高値掴み、感情での売買といった「自滅」を減らしてくれる。相場は、生き残ってさえいれば時間が味方する世界だ。だから“負けにくくなる”というのは、実は“最終的に勝つ確率が上がる”のと同じ意味なんだ。
- 投資初心者でも、孫子は理解できますか?
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できる。全13篇を読む必要はない。この記事で紹介した7つの格言だけで、初心者が身につけるべき“心構え”はほぼカバーできる。まずはこの7つを座右に置いて、慣れてきたら現代語訳で全体を読んでみる、くらいの順番でいい。
- 孫子とデイトレ・短期売買は相性がいいですか?
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相性は微妙、というのが俺の本音だ。孫子の思想の根っこは「無駄な戦いを避けよ」「戦わずして勝て」だ。頻繁に売買を繰り返す短期トレードとは、方向性が噛み合わない。孫子はどちらかというと、長期・低頻度・仕組み化の投資と相性がいい。もちろん短期でも「感情で戦うな」「己を知れ」は効くが、思想の本流は長期にある。
- 孫子以外で、投資に効くおすすめの古典・本はありますか?
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宮本武蔵の『五輪書』は“構え”や“平常心”の話が投資に通じる。あとは行動経済学の入門書。人がなぜ暴落で売ってしまうのか、その心理のクセを理屈で理解できる。ただ手を広げすぎるのは孫子的に悪手だ。まずは本記事の7格言を体に染み込ませることを優先してくれ。
まとめ|孫子を“座右の書”にした投資家だけが、生き残る

長い記事に最後まで付き合ってくれて、ありがとうな。最後に、株式投資に効く孫子のおすすめ格言7選と、そこから導いた“負けない4本柱”を、もう一度だけ振り返っておく。
- 己を知る(彼を知り己を知れば百戦殆からず)── 銘柄より、まず自分のリスク許容度を知れ
- 先に勝ってから戦う(勝兵は先ず勝ちて而る後に戦う)── 買う前にルールを決めろ
- 不敗の地に立つ(先ず勝つべからざるを為す)── 退場しない土台を作れ
- 戦わずして勝つ(戦わずして人の兵を屈する)── 低コストで積み立て、動くな
そして残りの3つ——「感情で売買するな」「予測でなく対応せよ」「相場は罠だらけと知れ」。これらを胸に刻んでおけば、お前は少なくとも“自滅”はしなくなる。
いいか、最後にこれだけは言わせてくれ。派手に勝たなくていい。退場さえしなければ、時間がお前を勝たせてくれる。俺は勝ち方を教えられるほど立派な投資家じゃない。でも、負け方だけは誰よりも知っている。300万溶かして、情報商材に80万払って、レバレッジで資産を半分にして、家族に見放されかけた。その全部が、孫子の格言を破った結果だった。
勝ち方を学ぶ前に、負け方を学べ。それが、俺が屍の山から拾い上げた、たった一つの真実だ。
ちょくこの記事で刺さった格言を、今日、一つでいいから紙に書いて、お前の“自分ルール”に変えてくれ。そして——俺の屍を越えてくれ。
※本記事は投資に関する情報提供・考察を目的としたものであり、特定の銘柄や手法を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断は、必ずご自身の責任で行ってください。










